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Suggestions de Loups : 狼たちからの提案
家の中で アクセントとなって存在を主張したり、緩衝剤のように全体の雰囲気を和らげたり、持ち主、置く場所によってさまざまな表情を見せる インテリアの中でのアンティークをご紹介します。


4.「掘り出した薬瓶」


   

「子供の頃、友達との間で花を種から撒き咲かせるのが流行っていた時期がありました。その頃に培ったそれなりの植物に対する知識が、イギリスに移ってからはいい意味で功を奏し、パートナーが弟や従姉と買った田舎のコテージでの庭作りに、ガーデニングを愛するイギリス人の彼らに負けず劣らず情熱を傾けることとなりました。

丘に広がる10年近くも誰にも触られていなかった大きな庭を耕してゆくのは、とても不思議な体験です。土の中から、以前住んでいた人が使っていたものの欠片が稀に見つかることもあります。それは時には植木鉢の欠片だったり、植物につける名前タグだったり、鳥の巣箱の木片だったり、、、全ては 重い水気を含んだ土でしっかりと包まれていて、地中にそっと保存されてきた物たち。それらを見つける度にもう既に亡くなっているという前住人の息づかい、超えては庭自身の息づかいを感じるのです。

中でも特に古い薬瓶の青いグラスが、その真っ黒な土の隙間から見えるのはとても美しく、思わず宝物を見つけた気分になります。使った薬の瓶を捨てていたのだろうと思われる、一定の場所からは緑や青の透明のグラスがいくつも出てきます。誰にとっても、この洗うと透明に透き徹る瓶たちが愛おしいのでしょう、それらは私だけでなく、家族の誰かが掘り出してもきれいに洗って棚にのせられることとなります。

庭に面するコテージのキッチンの出窓に、庭から摘んできたハーブの小さな花たちを入れて並べるのは楽しく、友人や家族と過ごす夏の休暇のひとときが 増々これらによって彩られます。そして 庭のどこかから薬瓶たちをまた見つける愉しみも加わり、増々庭仕事に力が入るのです。

薬と聞くと苦いイメージがつきまとってしまいます。しかし、不思議にこのように古くなって元の使い方をされなくなった瓶たちが、言い表せない魅力を放つのは間違いなく。薬の『苦い』部分が、古くなって柔らかさと甘さを増してゆくアンティークたちの中でも際立った凛々しさを保たせているからでしょう。そして、受け継いだり、買ったりするだけでなく、こうして掘り出しても私のアンティークコレクションは増えてゆくのです。

 

dromedaryDESIGN 中地明子

 


3.「受け継がれるおもちゃ」


   

「かわいい」というものに全く興味のなかった私も、家族に小さな一員が加わってからは 「かわいい」ものの代表、おもちゃに興味が出てきたことは否めません。

特に 先日戻ったイギリスの義母の家で手渡された 彼女の母が子供時代に使っていたと話す いくつかのおもちゃは 私の心をしっかりと捕えました。色あせ、今や完璧には残っておらず、繕う必要のある古い木のおもちゃたちが それ。

しかし、プラスチックのおもちゃが何人もの子供たちの手を経た時に どんどんその魅力を失っていくのに反し、これら昔の木のおもちゃは とても丁寧に考え作られていて 年を経ても全く変わることなくおもちゃという機能を果たし、また時にはおもちゃの枠を超え、その美しい色あせ方同様 十分な魅力を発揮してくれることを語っていました。

 

木のおもちゃだけではありません。他の材質で作られた古いおもちゃも魅力的です。同じ頃、大家族のホリデーを過ごすコテージで見つけた 姪っ子や甥っ子が残していったとみられる ビンテージのおもちゃたち。

ブリキでできたミニティーセットは何気なく 小さな陶器のピッチャーとともに、本棚に置かれていました。そしてその側には 私のパートナーが子供時代に遊んだという『007』初代の特別仕様車の合金ミニカーも。彼は遠い昔を懐かしみ目を細めているというのに、それらは 今さっきまで使われていましたというカジュアルさで存在していました。そう、それらは豪華な飾り棚に置かれているのではなく、今でもしっかり使われているのです。

果たして現在、いくつのおもちゃが買われ 捨てられていっているのでしょう?特にプラスティックの新しいおもちゃたち、電池を必要とするこれらのものは おもちゃの機能を簡単になくし あっというまにゴミ箱に消える運命の様に思われます。

曾お婆ちゃんからのお下がりになる 輪っかがぎこちなく回る台車を床に転がし大喜びする息子を横に、世界をとりまく「消費文化」についても より考え始めた瞬間でした。

 

dromedaryDESIGN 中地明子

 


2.「銀のアスパラガス」


   

南アフリカには植民地時代にヨーロッパ、特にイギリスとオランダから人々が運んできた たくさんのアンティークが埋もれています。イギリスに居た時よりもなぜか 遥かに高級なアンティークを見る機会が多いこの地で、友人たちの膨大なコレクションに驚くこともしばしば。

例えば、友人 リタの銀食器/カトラリーのコレクション。私にとっては人生で初対面の、「何これ?」という摩訶不思議な物たちがゴロゴロと転がっています。

その中でも 特に眼を奪われたのが「銀のアスパラガス」=「アスパラガスばさみ (Asparagus Tongs)」なるもの。その昔、人々はアスパラガスを大皿から取り分ける際、優雅に それぞれが銀のはさみに指を通しアスパラガスをつまんでいたのです。

銀のカトラリーは事細かに使用目的が別れていてコレクションするには本当に楽しいもの。彼女の家で 他にも葡萄の房を切る為に作られた 銀のはさみを見つけるも 私までその魅力にはまりつつあるのです。リタの 今は居ない最愛のパートナーは これらを収集し、人々を家に招き それを使い食事をすることを最大の楽しみとしていたと聞きます。

その彼の意志を引き継いだ彼女から 素敵なパーティーに招かれる度 時間がゆっくりと動いていた頃のアンティークの銀器たちに『優雅』という言葉をみつけ、彼を知らない私も その銀食器とともに人々を宴することを愛してやまなかった彼から その言葉を説かれている様に感じるのです。

私の手元には、イギリス人の義母から受け継いだ わずかの銀の器とカトラリー、燭台があります。それは リタのものほど、揃っていなくて 豪華でもありません。それでも、それらから私は 義祖父母の過ごしていたその時代の ゆっくりとした それはそれだけで『優雅』と言える、時間を感じることができるのです。

 

dromedaryDESIGN 中地明子

 


1.「白と黒の椅子」


   

tappisierと呼ばれる椅子の修復を教わりはじめてから、蚤の市めぐりの楽しみに、椅子探しが加わりました。

この小さな椅子は 椅子の修復を学ぶきっかけになった 思い出深いものです。もともと 蚤の市でいつも探していたのは bambou(竹)ともよばれる piche pinという木を使ったおままごと道具でした。
 
ある日 とある軒先で、ままごと道具と同じスタイルのぼろぼろの小さな椅子を見つけ、全く座る事のできない座席の様子にもかかわらず、そのスタイルと作りに惹かれて 持ち帰りました。

そのまま長い間その椅子は単なる飾りだったのですが、ふと思い立ち、近所のtappisierに修理に出すことに。

ナポレオン3世様式といわれる黒い木肌が見えている部分はそのままに、上塗りしたペンキも落とさずにチェックの布を貼って欲しいという注文に、クラシック一辺倒の店主は何度もほんとうにそれでいいのか、と聞き直しながらも注文を受けてくれました。

そして 出来上がったと連絡をもらって受け取りにいき、その値段の高さにびっくり。

それなら自分でできるようになろう、と教わり始めた椅子の修復ですが学べば学ぶほど、値段のわけがわかりました。
きちんとした伝統的な貼り方で、座席の上部分も素人にはできないテンションで 美しく仕上がっている事が。

改めて職人の手仕事を尊敬する出来事でもありました。

 

Jeu de fils 高橋亜紀



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